未来食堂には、「まかない」と呼ばれるシステムがあります。仕組みについては以前も書きましたが、今回は少し深いところまでお話します。
簡単におさらいしますと、
まかない・・・お手伝いをすると1食無料になるシステム。自分で食べずに「ただめし券」として誰かに譲ることもできる。
働きたい人間がいる時に、1日でも1時間でも働いてもらえるためには仕組み作りが重要ということでした。
では、仕組みさえ作れば給料もなく働いて、食事さえ食べずに人にあげる、そんな人口の0.0000何%の神様みたいな人がわんさか集まってくるとでも言うのでしょうか?
残念ながら、事はそう単純ではありません。
実は、その「神様」って、意外といるんです。結構いるんです。その辺にいっぱいいます。
でも、みなさんが気づいていないだけなんです。未来食堂に来る神様たちは、どんな思いで働いているのでしょう。
神様たちが未来食堂で働くときに共通する思い、それは『自分が成長できる』という思いです。
神様の属性にもいろいろあります。飲食店を開きたい人、会社の経営者、日本に来たばかりの外国人、など、いろいろな神様がいます。でもみんな、未来食堂の仕組みだったりせかいさんの考え方だったり、いろいろなものを吸収しようとしています。そのために、この1円にもならない仕事をしているのです。
ここまで書けばなんとなくお気づきかとは思いますが、「神様」とは言っているものの、実際は普通の人間です。結構どこにでもいる(失礼…)普通の人間です。
その「普通の人間」が、自分を成長させようと働きに来るのです。
このように言うと
「うちの店だって、働けば成長する!それに時給まで払っているんだからそんなところよりうちで働いた方が良いだろ!」
という声が聞こえてきそうです。
ですが、まさにそこが落とし穴なのです。
みなさん、もしかしてこんなことを思っていたりしませんか?
〔給料払うから働かせてやってる〕
〔経営者の自分の言うことは聞いて当然〕
〔時間をさいて技術を教えてあげている〕
〔成長の場を提供しているのだから、多少理不尽でもガマンして当然〕
成長という軸で考えると、世の中の人は次の3パターンに分けられるでしょう。
① 全身全霊かけて成長したい!そのためにはどんな苦労も苦痛も耐える!
② 成長はしたいけど、理不尽な苦痛や精神的に辛いことはイヤだ。
③ 自分の成長に興味がない。
上の①のような人であれば、どのお店でも問題なく働けるでしょう。しかし、それこそ神様のような割合でしか存在しません。
では②のような人はどうでしょう。それなら結構いっぱいいると思いませんか?そうです、未来食堂に来る人はこの②の人が多いのです。
それでは、②のような人に働きに来てもらうためにはどうしたら良いのでしょう?
繰り返しになる部分もありますが、せかいさんはこのように考えています。
〔初めてでも、1時間でも働ける仕組み作りが重要〕
〔まかないに来た人には、(成長のために)何かを持ち帰ってもらいたい〕
〔個人の目的をチームの目的に合致させる〕
〔働く人自身に考えさせる、責任を持たせる(責任を取らせるという意味ではない)〕
人が何か新しいことを始める時には、必ず不安がつきまといます。
「自分にもうまくできるかな…」
「失敗したらイヤだな…」
「足手まといにならないかな…」
しかしここで『誰でも、初めてでも戦力として働けます!』とあればどうでしょう?不安はほとんどなく一歩足を踏み出せるのではないでしょうか。その最たるものがこのまかないシステムなのです。
そして実際に働いてみると、「初めての自分にもできた上に、イヤな思いもせずにいろいろ学べた!」となり、また来たいとなるのです。
実際はこの土台にせかいさんの思いなどもありますが、これがまかないシステムの真の姿なのです。
ですので、
「うぇー、まかない出すだけで働いてくれるんだ!めっちゃいいじゃん、うちでもやろー!」
などと、うわべの形だけをマネして始めても、絶対うまくいきません。断言できます、100%うまくいきません。
まかないを始め、「めずらしいシステム」として取りざたされる未来食堂ですが、実際は目的と店主の思いをベースにした「考え抜かれたシステム」なのです。
もちろんせかいさん自身も完璧なシステムだとは思っておらず、運用していきながら改善を続けています。
実はここが一番重要なのかもしれません。常に目的と状況を念頭に置きながら日々改善を続けることこそ、各システムもとい未来食堂の強さと言えるのでしょうね。
●せかいさんの書籍●
【未来食堂ができるまで】
【ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由】
【やりたいことがある人は未来食堂に来てください 「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法】
【誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる】